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念速寺

 先日、母の33回忌の法事で、東京の菩提寺、念速寺を訪れた。この寺は文京区にあって、地下鉄・後楽園駅からタクシーでワンメーター。歩いて行くと20分ほどの距離だ。境内に、日本で初めて行われた病死体解剖に志願した、美幾女と称される人の墓(文京区指定史跡)があることで、地元の歴史に興味を持つ人たちの間では案外知られた真宗寺院だと聞く。

 我が家は宗教的な家庭ではなかったが、それなりにお寺との繋がりは欠かしていなかった。子供の頃から仏事の度に、よくここに連れて来られた。そのせいだろう。寺のまわりの光景は昔とは随分変ったものの、何か懐かしさを感じるのである。

 幼稚園の頃だっただろうか。お坊さんの唱えるお経が、歌のように響いたり、阿弥陀さまの向こう側に、何か不思議な世界があるように思えた記憶がリアルにある。宗教の違いはともかく、この頃から「宗教の道」への導きを頂いていたのだろうか・・・。

 ところで、母が32年前の6月に亡くなって以来、信心にはまったく興味のなかった父が、月命日には必ずこの寺を訪ねるようになった。そこまで宗教に思いを寄せるなら、キリスト教のことも是非知ってもらいたいと、当時、東京に戻った折には、父にキリスト教入門書を手渡したり、教会の話などを意図的に行った。その甲斐あってか父は、家に訪ねて来るエホバの証人の人に「息子がキリストをやっていますから、結構です」とお断りしたり、近所の人々に「息子は牧師です」と話してくれたという。何もそこまでやらなくとも・・・。

 きわめつけはこの念速寺のご住職にも、私のことを話し、ご住職が心から喜んでくれたと言っていた。にわかに信じ難かったが、本当だった。その後、ご住職にお会いした折に、「よかったですね」と言って下さった。彼自身、若い頃、キリスト教の勉強を随分とされたそうだった。いつかゆっくり語り合いたいと思っていたが、果たせないまま亡くなられ、現在は奥さんがお坊さんをやっておられる。頑張って欲しい。

 私共は互いに、無限の大いなる御力に生かされているのを知るのだから。いつまでも寛容であり続けたいものだ。




☆6月14日説教「私達のため」要約:
「あなたがたは、わたしたちの主イエス・キリストの恵みを知っています。すなわち、主は豊かであったのに、あなたがたのために貧しくなられた。それは、主の貧しさによって、あなたがたが豊かになるためだったのです」
(コリントの信徒への手紙二8:9)
 
 「キリストの恵みを知っている」・・・教会の働き、信仰の業は、そこから生じるものです。だから、そこには喜びがあるのです。キリストはそんな「豊かさ」を私達に与えるために、「ご自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられた」(フィリピ2:6-8)のです。
by aslan-simba | 2015-06-12 16:49 | Comments(0)

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