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五月の風

 五月の朝、昨夜の恵みの雨は上がり、新緑は一段と鮮やかさを加え、花々も今、活き活きと輝いている。爽やかな風の柔らかな一日となるだろう・・・。 毎年、この時期になると、決まって思い起こす詩がある。

夢みたものは……

夢みたものは ひとつの幸福
ねがつたものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある

日傘をさした 田舎の娘らが
着かざつて 唄をうたつてゐる
大きなまるい輪をかいて
田舎の娘らが 踊ををどつてゐる

告げて うたつてゐるのは
青い翼の一羽の小鳥
低い枝で うたつてゐる

夢みたものは ひとつの愛
ねがつたものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と

 どこかヨーロッパ田園風景を思わせるような、昭和初期の詩人、立原道造の詩である。かつてフランスの芸術家たちが、南仏の田舎町を愛した逸話も思い起こす。

 立原は軽井沢を愛し、信州を好んで旅した。ある評論家は、彼を次のように評している。「立原道造はまさに東京の、町なか育ちの詩人だった。彼はその町なかから、常に自分の環境とは異質のものにあこがれていた(安藤元雄)」。

 立原は詩の世界のみならず、設計技師としても将来を嘱望されていた。しかし結核療養先で「五月の風を ゼリーにして持ってきてください」の言葉を残し、24歳の若さで生涯を閉じた・・・。私は、彼の詩にいつも「五月の風」と「新たな命へのあこがれ」を憶えるのである。彼のこんな詩も好きだ。

歌ひとつ

昔の時よ 私をうたはせるな
慰めにみちた 悔恨よ
追憶に飾られた 物語よ
もう 私を そうつとしておくれ

私の生は 一羽の小鳥に しかし
すぎなくなつた! 歌なしに
おそらく 私は 飛ばないだらう
木の枝の向うに 青い空の奥に

未来よ 希望よ あこがれよ
私の ちひさい翼をつつめ!
そして 私は うたふだらう

大きな 真昼に
醒めながら 飛びながら
なほ高く なほとほく

 私たちも飛び立とうではないか。風薫る五月の光の中へ、御国を目指し、颯爽と!


☆5月18日説教「真実の言葉」要約:
「わたしの仕えているイスラエルの神、主は生きておられる。わたしが告げるまで、数年の間、露も降りず、雨も降らないであろう」、「今わたしは分かりました。あなたはまことに神の人です。あなたの口にある主の言葉は真実です」(列王記上17:1、24)
 大地は旱魃で死んだような状態になり、人々は苦しんでいる。まさに罪の呪いに囚われたように・・・。しかし、絶望してはならない。そのことを経てこそ、生じる希望の出来事があるのだから。彼らはやがて喜びをもって語れるはずである。「主の言葉は真実です」と。
by aslan-simba | 2014-05-16 08:13 | Comments(0)

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