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Adversity makes a man wise.

 「艱難汝を玉にす」、「忍の一字は衆妙(しゅうみょう)の門」、働き盛りだった頃の父が、そんな言葉をよく口にしていた。いずれも「人間は多くの辛い困難や苦労を経験してこそ、人として成長できる」ということだ。こういった諺を口にすることによって、父は自らを鼓舞していたのだろう。
 先日、ある英書で「Adversity makes a man wise.(逆境は人を賢明にする)」という英語表現に出合い、あの頃のことを思い出していた。思えば私自身―まだまだ若いつもりだが―その辺りの父の年齢は、既に過ぎてしまった。そのせいもあろうか、これまでの拙い人生経験と様々な出会いから、そういった言葉の真意がつかめるようになってきた。
 それゆえ人が大きな困難に遭遇し、悩みの淵に立たされ、今は、その苦労の意味が見出せなくても、それが将来的には必ずや人生の大きな宝に変えられるものと信じたい。神が与えて下さった人生には、何ひとつ無駄な経験はないと思うからだ・・・。
 新旧約聖書には苦悩・艱難をバネに人生行路を雄々しく辿った人物が数多く登場する。中でも、文字通り艱難につぐ艱難を耐え忍び、衆妙(天地万物の深遠な道理)をキリストに在って体得した使徒パウロは、こう語るのである。
 「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む」(ローマ5:4)、「だれがキリストの愛からわたしたちを引き離すことができましょう。艱難か。苦しみか。迫害か。飢えか。危険か。剣か。・・・しかし、これらすべてのことにおいて、わたしたちは、わたしたちを愛してくださる方によって輝かしい勝利を収めています」(8:35,37)と。すなわち、いかなる艱難や苦悩のせめぎにあっても、最後に勝利するのは決して艱難や苦悩ではなく、どこまでも神の愛なのである。
 私たちのこの世の歩み、この先にも待ち受ける困難は未だあるかも知れない。それでも、神の愛の勝利をどこまでも信じ、揺らぐことのない者でありたいと願う。


☆10月20日説教「神の養い」要約:
 旧約聖書には、「逆境を通じて神に養われる」という経験が数多く記されています。ヨセフ物語だけではありません。たとえば民全体・・・出エジプトの民は荒れ野で40年を神に養われました。バビロンの捕囚の地では50年に渡る養いを受けています。逆境、試練を経験してこそ、聖書の人々は、一歩先に進めたのです。このことは、私たちの信仰生活にも通じることではないでしょうか。どんな厳しい状況に置かれていても、神に養われるということ、その事実に気づきたいものです。
by aslan-simba | 2013-10-17 20:09 | Comments(0)

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