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落葉

色づいた銀杏の葉が落ちる道を歩きながら、「落葉」の詩を思い起こす。「秋の日の ヴィオロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し  鐘のおとに 胸ふさぎ 色かへて 涙ぐむ 過ぎし日の おもひでや  げにわれは うらぶれて ここかしこ さだめなく とび散らふ 落葉かな」。すらすらと口をつくのは、中学生のときに暗誦させられたおかげである。 原詩(Chanson d'automne)の作者ポール・ヴェルレエヌは19世紀フランス象徴派の代表的詩人といわれ、初期の作品群は高い評価を受けている。この詩は、彼の処女詩集(『土星人の歌』)のなかに所載されたもの。それに明治の文学者・上田敏が、見事な日本語訳を施した(『海潮音』)。この季節、静かな哀愁を帯びた言葉の調べが心に響いてくる。 立ち止まって、人間の内面を象徴的に描いたこの詩の魂に思いを重ねてみる。自らの歩みを省みながら・・・ただ、いつまでも感傷だけに浸り続けてはいられない。自分にはなさねばならない使命がある。なお、ヴェルレエヌがこの詩を記したのは、二十歳の頃だったという。そのあまりの早熟さには驚かされるのだが・・・彼の後半生は自堕落で破滅的になり、不遇と貧困のうちに世を去ったそうだ。 小春日和の陽だまりのなかを再び歩き始める。晩秋から初冬への移行は早いものだ。黄金色の輝きの中にある今のときを精一杯に生きたいと願う。人生の冬を喜びのうちに迎えるためにも。
by aslan-simba | 2007-11-22 22:09 | Comments(0)

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