人気ブログランキング | 話題のタグを見る

今、この時を

 「今や、恵みの時、今こそ救いの日」(コリント二6:2)。この聖句があらためて心に響きます。今年も一時一時、一日一日を大切に積み重ねながら、前向きに人生の旅を歩み続けましょう。今ここに生かされて在る事に感謝しつつ。
 俳人・松尾芭蕉は人生の旅の最後に、「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」(病中吟)と詠みました。一般に彼の辞世の句と言われますが、辞世をめぐっては、こんな逸話もあります。
 晩年、旅先の大阪で病に倒れた芭蕉に、門人たちは辞世を願いました。「昔から、有名な文人や武将は必ず辞世の歌や句を残しています。先生ほどの方に辞世がなかったのかと、世間の人から言われては残念です。また私共のためにも、是非とも辞世の句をお遺し下さい」と。これに対して芭蕉はこう答えます。「きのふの発句はけふの辞世、今日の発句はあすの辞世、我生涯言い捨し句々一句として辞世ならざるはなし」(芭蕉臨終記『花屋日記』)。「人はいつ死ぬかわからない。それゆえ、今日つくった句が、辞世の句になってもいいという思いで、これまでの一句一句、全身全霊を込めて詠んで来たのだ」という事です。だから「平生即ち辞世なり」なのです・・・。彼の俳諧に対する真摯な態度と共に、常に今という時を真剣に生きた姿勢が伝わってまいります。
 「今、この時を懸命に生きる」ことを意味する「而今(にこん)」という禅語があります。あるお坊さんが、こう書いておられました。「遠い過去からはるかな未来を見通した上で今の、いや<而今>の一刻一刻をあゆんでゆきたいものです」と。共感しました。今を、今日を真摯に生きることこそが、過去のこだわりから解放され、希望の明日をつくりだすのです。そこに今日の喜びもある!
 「・・・きのう知らなかったことを きょう知る喜び きのうは気づかなかったけど きょう見えてくるものがある 日々新しくなる世界 古代史の一部がまた塗り替えられる 過去でさえ新しくなる」(川崎洋)。
 今年の私たちは、また私たちの国の未来は、もっともっと明るくなるはずです。



☆1月12日説教「遣わされて」要約:
 神学にこういう言い回しがあります。「人間の混乱と神の摂理」 (Human confusion, Divine providence.)。人の心の問題によって、この世界には様々な悲惨な現実が生じています。しかし、「摂理の神」、ご計画をなす神がおられることを忘れてはなりません。使徒パウロは言います。「神を愛するものたち、つまりご計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働く・・・」(ローマ8:28)と。主に在って、最終的には必ずやすべてが良い方向へと向けられます。
by aslan-simba | 2014-01-09 23:02 | Comments(0)

〒612-8006 京都市伏見区桃山町大島86-29  京阪桃山南口より徒歩8分、ほっこりした教会   天に在る牧師の愛犬たちです。

by aslan-simba