人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ベツレヘムの星

12月2日の桃山栄光教会で行われたフルート・コンサートで、大体次のような内容のお話をさせて頂きました。

 毎年、このコンサートでは、何かお話をすることになっています。今年は「クリスマスツリーの一番上の星は何」でした。何でしょうか・・・まあクリスマスツリーと言うのですから、イエス・キリストの誕生と関わっているはずです。
 聖書が伝える、このイエス・キリストの誕生の物語は、歴史的事実と超自然的出来事とが重なって描かれています。決して、単なるファンタジーの世界ではありません。ならば、その歴史的事実がわかるのはどこでしょうか。たとえば、聖書に「イエスは、ヘロデ王の時代、ユダヤのベツレヘムでお生まれになった」と書いてあります。このヘロデ王というユダヤの王様は歴史上の人物ですから、いつ、どこで、イエスさまがお生まれになったか、これでわかります。
 もう一つの超自然的出来事のひとつとして・・・これがお題の星と関わっているのですが・・・イエスさまがお生まれになったユダヤの国から遠く離れた東方の国の学者、いわゆる博士さんたちが空に輝くその不思議な星を見て、そこからメッセージを受けたということでした。この星は長い間、ひときわ明るく輝く大きな星だったと、聖書以外の古代文献にも記録があります。
 今でも、この星が何だったかと、話題になることがあります。もしご興味ある方があれば、インターネットで「クリスマスの星」あるいは「クリスマスツリーの星」などで検索できます。富山市科学博物館のホームページとかナショナル・ジオグラフィック・マガジンのニュースなど読んでみると面白いですよ。そういった記事を通して、よく言われるのは、紀元前7年に起こった木星と土星の大接近の出来事です。ちなみに、うお座の中で木星と土星が大接近すると不思議な光を放つそうです。
 それを、東の国の博士さんたちが見たのです。当時の天文学の学者は、星占いの先生でもありましたが、その星を見てピンと来たのです。何を分かったのか。・・・星占いの世界では、木星は世界の支配者の星で、土星はユダヤの星、でうお座は終末の時代、終わりの時代を意味するので、「この大接近はユダヤに終末時代の世界の支配者、救い主、メシアが登場を知らせている」と。そこで、その星を見た彼らは、その星に導かれ、世界の救い主、メシアを探しにユダヤの国にやって来ました。この星がひときわ大きく輝き。それが、動いて博士たちを導いてくれたのです。さて彼らがユダヤの国で最初に訪ねたのはヘロデ王の宮殿のあるエルサレムでした。しかし、そこには救い主はいませんでした。
 星はさらに動きます。博士さんたちが、やっとたどり着いたのは、ベツレヘムという古い町の郊外・・・聖書はそこのところをこう記しています。「東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。学者たちはその星を見て喜びにあふれた。家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた」。どうでしょう。彼らがついに辿りついた、貧しい小さな家、しかもその馬小屋の中だったのです。そこに見たのは母マリア、夫ヨセフの下で、飼い葉桶に寝かされていた赤ん坊でした。しかし彼らはこの方こそ探していた救い主だと信じて喜びに溢れ、礼拝したのです。不思議な星に導かれてベツレヘムの地で幼子メシアを見つけた。だからこの星のことをベツレヘムの星とも言います。
 まあこんな風に、ベツレヘムの星はクリスマスに生まれた救い主イエス・キリストを指さしたのです。またベツレヘムの星はそれと同時に、象徴的な意味で、キリストそのものだという人もいます。これは特に強調しておきたいのですが、イエス・キリストは、この世界の闇、私たちの心の闇を明るく照らし、人生を照らし出す確かな光です。暗闇の中に輝き、ひとすじの道を示す明るく輝く星なのです。私自身、そう確信して、お話させて頂いています。
 というわけで、ベツレヘムの星に導かれて、人生の暗闇に輝くキリストという星に出会った。どうでしょう。日本にも信州の民話から出た「牛にひかれて善光寺まいり」の話がありますが、「星にひかれてキリストまいり」というのも、なかなかよい話ではないでしょうか。
最後に、このベツレヘムの星にまつわって、牧師で神学者の松田明三郎(まつだあけみろう)さんの書いた 「星を動かす少女」という散文詩を紹介し、お題にまつわる話を締めさせて頂きます。
「クリスマスのページェントで、日曜学校の上級生たちは、三人の博士・羊飼い・マリヤ・ヨセフなどそれぞれ人の目につく役をふりあてられたが、一人の少女は誰もみていない舞台の背後にかくれて星を動かす役があたった。『お母さん、私は今夜、星を動かすの。見ていて頂戴ね』。その夜、会堂に満ちた会衆は、ベツレヘムの星を動かしたものが誰であるか気づかなかったけれど、彼女の母だけは知っていた。そこに少女のよろこびがあった」。
 ベツレヘムの星の物語は、この少女の喜びの大切さをも、私たちに教えてくれている。そんな思いも致します。
by aslan-simba | 2012-12-04 21:56 | Comments(0)

〒612-8006 京都市伏見区桃山町大島86-29  京阪桃山南口より徒歩8分、ほっこりした教会   天に在る牧師の愛犬たちです。

by aslan-simba