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これでよし

木々の梢もだいぶ黄色みをおび、秋の深まりを感じる頃となった。この一年もあと二カ月ほどで終わって行く。待降節(アドヴェント)から始まった教会暦は、最後の時期(古い教会暦では終末節)に入ろうとしている。まさに「終わりの時」―それを個人の事柄に置きかえるなら地上の生涯の最後―に思いを馳せる時なのである。 よく、人は自分の生涯の終りの時、死の間際に、自分の人生のはじめから終りに至るまでを、走馬灯の如くに一瞬の間に垣間見ると言われる。私たちは、そこに何を見るだろうか・・・その映し出される姿は、私たちが今、自分の人生をどういう風に考え、毎日の生活をどんな思いで過ごしているかということと、深く関係しているものと思われる。また、それを言葉で言い表したら、どのような表現になるだろうか。 ドイツの哲学者カントは、その八十年の生涯を終える時「Es ist gut.(エス・イスト・グート・これでよし)」と言って亡くなったと伝えられる。それは、日々、几帳面に研究を重ね、自らの哲学の完成をもって、この世の最後を迎えることの出来た偉大な哲学者の、充足感に溢れる言葉である。そこまでの業績は、我々には残せないかも知れない。しかしカントと同じように一日一日を大切に生きることは出来るはずだ。 私たちに残されたこの世の日々はまだまだある。しかも、私たちは地上の生涯の彼方に帰るべき素晴らしい所があるのを知っている。益々の平安のうちに、この人生の秋を存分に味わいながら、感謝と祈りをもって、日々大切に歩み続けて行こうではないか。


☆10月30日説教「モーセの祈り」要約:
主は言われた。わたしは、エジプトにいるわたしの民の苦しみをつぶさに見、追い使う者のゆえに叫ぶ彼らの叫び声を聞き、その痛みを知った。それゆえわたしは降って行き、彼らを救い出す」(出エジプト記3:7-8参照)。
神は、私たちの苦しみを知り、祈りを聞かれ、そして、私たちの元に来られ、私たちを救われる。私たちはこの生ける神の御言葉に従うのです。神さまは私たちを巻き込み、救いの歴史を進めておられます。どこまでも信じて行こうではありませんか。神さまはこう約束されます。「わたしは必ずあなたと共にいる。このことこそ、わたしがあなたを遣わすしるしである」(12節)。安んじてこの世へ遣わされてまいりましょう。
by aslan-simba | 2011-10-26 13:09 | Comments(0)

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